電子申請の原則義務化スタート|初心者でも安心!ストレスチェック結果報告書の電子申請について解説(記入例つき)

初心者でも安心!ストレスチェック結果報告書の作成から提出まで-エリクシア産業医

ストレスチェック結果報告書―入力することは?いつまでにどう提出?

ストレスチェック実施後の結果報告書の提出は、ストレスチェック制度の中で義務付けられている対応の一つです。本コラムでは、ストレスチェック実施後の結果報告書の入力内容、提出方法、提出期限について分かりやすく解説します。

また、結果報告書を提出するときに、よく質問されることについてもQ&Aでまとめていますので、つまずきやすいところも先回りして確認できます。初めて結果報告書を提出する方も、経験はあるけど作成方法や提出方法に自信がないという方も、ぜひ最後までお読みください。

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ストレスチェックは実施して終わりじゃないーストレスチェック結果報告とは?

まず、ストレスチェック制度についておさらいしていきましょう。

ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10に係る制度です。常時50人以上の労働者を雇用する事業場においては、年1回ストレスチェックを実施しなければならないと定められています。なお、50人未満の労働者を雇用する事業場は、ストレスチェックの実施は現時点で義務付けられていませんが、今後2028年ごろまでに実施が義務付けられることが決まっています。

ストレスチェックは実施して終わりではなく、ストレスチェックの実施状況について所轄の労働基準監督署へ報告する義務があります。報告の際は、労働安全衛生規則様式第6号の2「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(以下、ストレスチェック結果報告書という)」を使用します。

ストレスチェック結果報告書の提出にあたっては、これまで労基署窓口へ直接届け出たり、郵送したりすることが可能でしたが、2025年1月から電子申請が原則義務化となっています。

(検査及び面接指導結果の報告)
第五十二条の二十一 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、電子情報処理組織を使用して、検査及び面接指導の結果等について、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。(参照:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」

ストレスチェック結果報告書を提出しなかった場合は、労働基準監督署からストレスチェック実施状況の確認と、結果報告の申請について事業場へ連絡が来るケースがあります。労働基準監督署から指導を受けてもなお対応をしない場合、労働安全衛生法第120条の5に基づいて50万円以下の罰金が科される可能性もありますので、もし連絡がきた場合は速やかに提出状況を確認し、対応するようにしましょう。

ストレスチェック結果報告書の作成・提出方法は? 

常時50人以上の労働者を雇用する事業場においてはストレスチェック結果報告書を所轄の労働基準監督署へ提出しなければいけません。たとえ、ストレスチェックを実施しなかった場合であっても、報告書を提出する義務があります。※50人未満の事業場は、現時点では報告の義務はありません。

また、ストレスチェックを実施したにもかかわらず受検者がいなかった場合でも報告書を提出する必要があります。報告義務については、労働安全衛生法第100条に基づくものであり、違反をした場合は罰則があるため注意しましょう。

それでは、ストレスチェック結果報告書の作成や提出方法について詳しく解説していきます。

20251月から!電子申請の原則義務化スタート

ストレスチェック結果報告書は、2025年1月から電子申請が原則義務化となりました。※経過措置として、当面の間は電子申請が困難な場合、書面による報告も可能です。

結果報告書の作成から提出は、大きく3つのステップがあります。

STEP1e-Govアカウントの作成

電子申請をするには、e-Govのアカウントを作成する必要があります。

詳細は、e-Gov電子申請のサイトをご参照ください。

STEP2:ストレスチェック結果報告書に必要事項を入力

厚労省の労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービスで帳票を作成することができます。電子申請をする場合は、「電子申請を利用する方はこちら」をクリックし、e-Govにログインします。

次の章でご説明する必要事項を入力画面に沿って入力しましょう。

STEP3:ストレスチェック結果報告書を提出

全て入力したら、「帳票入力データを保存する」もしくは「申請内容(PDF)を出力する」をクリックして帳票のデータを保管します。

e-Gov電子申請にログインして保管したデータを提出したら完了です。

【記入例つき】ストレスチェック結果報告書の入力内容

次に、ストレスチェック結果報告書の入力内容について確認していきます。入力が必要な項目は以下の11項目です。

①労働保険番号
②対象年
③検査実施年月
④事業の種類/事業場の名称
⑤事業場の所在地
⑥在籍労働者数
⑦検査
⑧面接指導
⑨集団ごとの分析
⑩産業医
⑪署名、宛名

電子申請の入力画面でも各項目の説明を確認できますが、ここではそれぞれ項目に対して、どのように入力すればよいか解説します。

①労働保険番号:
労働保険番号を入力します。労働保険番号は、労働保険加入証明書や確定申告の手続きの際の「労働保険概算や確定保険料申告書」等に記載されています。

②対象年:
報告の対象となるストレスチェックが何年のものなのか、その実施年を入力します。

③検査実施年月:
報告の対象となるストレスチェックの実施年月を入力します。ストレスチェックを年に数回行っている場合は、1年分をまとめて報告します。この場合「検査実施年月」の欄には、報告日に最も近い検査実施年月を入力します。

④事業の種類/事業場の名称:
●種類
日本標準産業分類の中分類に従って記入します。総務省の検索サイトで確認できます。
●名称
事業場の正式な名称を入力します。

⑤事業場の所在地:
事業場の正式な所在地を入力します。

⑥在籍労働者数:
検査実施年月末日現在の常時使用する労働者数を入力します。
実施義務対象外の方が受検しても数には含みません。

⑦検査:
●検査を実施した者
検査を実施した者を「1」~「3」の中から選択します。実施者になれるのは、医師(産業医を含む)か保健師、もしくは一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士、歯科医師、公認心理師です。
●検査を受けた労働者数
ストレスチェックの対象者のうち、報告対象期間中に受検した人数を入力します。

⑧面談指導:
●面接指導を実施した医師
面接指導を実施した医師を選択します。「面接指導を受けた労働者」がいない場合は、空欄にします。
●面接指導を受けた労働者数
ストレスチェックを受けた労働者のうち、医師の面接指導を受けた労働者数を入力します。

⑨集団ごとの分析:
集団分析の実施の有無について、該当する番号を選択します。

⑩産業医:
産業医の氏名と所属機関を入力します。なお、産業医の押印は不要です。

⑪署名、宛名:
帳票記入年月日と事業場名、事業者の代表者名、役職、帳票を提出する労働基準監督署名を記入します。

結果報告書は1年以内ごとに提出

ストレスチェック報告書は、1年以内ごとに一回、定期的な提出が必要です。ただ、具体的な提出期限は定められていないため、提出時期は事業場ごとに設定します。前年度も実施の報告をしている事業場は、前回の提出から一年以内でなければなりません。提出期限を忘れないようにするためにも、あらかじめ衛生委員会等で報告書の提出時期を決め、例えば「毎年3月に提出する」など、できるだけ毎年固定の時期に提出することをお勧めします。

ストレスチェック報告書の提出QA

これまで、具体的なストレスチェック結果報告書の作成方法や提出について流れで見てきました。次に、ストレスチェックを提出する際、よく弊社に質問が来る点について、Q&Aでご紹介します。提出する前にあらかじめ読んでおくことでつまずきを防ぐことにもつながりますので、ぜひ確認してみてください。

Q1.当社は本社以外に50名を超える事業場が2つあります。報告書は本社でまとめて1部提出すればよいですか?

A.ストレスチェックの報告書は事業場ごとに作成し、所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。そのため、本社でまとめて報告することはできません。

Q2.当社は50人以上の事業場ですが、諸事情により今年はストレスチェックを実施できませんでした。ストレスチェック結果報告書の提出は必要でしょうか?

A.常時50人以上いる事業場において、ストレスチェックを実施しなかった場合であっても報告は必須です。「ストレスチェックを実施しなかった」という事実は労働基準監督署へ提出する義務がありますので漏れなく報告しましょう。(労働安全衛生法第100条及び、労働安全衛生規則第52条の21)

ストレスチェック結果報告書を提出しなかった場合は、実施状況や報告について労働基準監督署から問い合わせがくる場合があります。労働基準監督署からの指導を受けてもなお対応をしない場合、労働安全衛生法第120条の5に基づいて50万円以下の罰金が科される可能性もあります。労基署から連絡がきた場合は速やかに対応することが大切です。

Q3.当社は50人未満の事業場です。ストレスチェックはしていますが報告は不要ですか?

A.50人未満の事業場がストレスチェックを実施した場合、報告義務はありません。労働基準監督署への報告については、常時使用する労働者が50人以上の事業場に対してのみ義務付けられています。

報告義務はないものの、50人未満の事業場で実施する際には、報告以外の事項については関連する法令、指針等に従う必要がありますので注意しましょう。

Q4.当社は年に二回ストレスチェックを実施しています。二回分それぞれ提出は必要でしょうか?

A.報告の義務は「1年に一回」ですので、複数回のうち一回について報告すれば問題はありません。1年を通し順次ストレスチェックを実施した場合は、その期間内のストレスチェックの実施状況を1回にまとめて報告できます。

この場合、「検査実施年月」の欄には、『報告日に最も近い検査実施年月を記入すること。』という規定がありますので、これに従います。

ストレスチェックについては以下の記事でも解説しています。
50人超えたら実施義務発生、ストレスチェック基本の「き」
解説!ストレスチェック制度の基本と産業医の関わり
どうしたら良いの?ストレスチェック、面談希望のない高ストレス者への対応

おわりに

常時使用する労働者が50名以上の事業場においては、ストレスチェックの実施が義務付けられているだけでなく、ストレスチェック結果報告書こと「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を労働基準監督署へ提出することも義務付けられています。ストレスチェックを実施する工程のひとつとして、年に1忘れずに提出するようにしましょう。

ストレスチェックは実施して終わりとするにはもったいない制度です。ストレスチェックを通して得られた集団分析では、仕事のストレス要因など職場の現状や課題傾向を知ることができます。働きやすい職場づくりを実現するために、ストレスチェック制度を積極的に活用していきましょう。

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この記事の執筆者:エリクシア産業保健チーム

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この記事は、株式会社エリクシアで人事のお悩み解決に携わっている産業保健師チームが執筆し、産業医が責任をもって添削、監修をしました。

株式会社エリクシアは、嘱託産業医サービスを2009年より提供しています。衛生管理体制の構築からメンタルヘルス対策、問題行動がある社員への対応など「圧倒的解決力」を武器に、人事担当者が抱える「ヒトの問題」という足枷を外す支援を行っています。

【記事の監修】
産業医 上村紀夫
産業医  先山慧

本記事の内容に関するお問い合わせ、記事転載や報道関連のお問い合わせは下記ページよりお問い合わせください。

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